家づくり記録 Tさん

NO.2

 

 パソコンでの間取りソフトを購入し、毎日毎日、暇さえあればパソコンで考えます。実に楽しい時期。

 当初は見も知らぬ土地(偶然にも結婚前の初デート予定地!)に引っ越したのですが、5年も経てばすっかり都。特に子供が生まれてからは近隣住民との関係も築け、不便を感じるのは週末に交通渋滞が起きることくらいでした。
     
 土地の大きさ、風の通り道、夏の暑さや冬の寒さ、日当たりや人通り、車の出入りなど全て経験しています。それらを踏まえての間取りですから、ある程度「こういう部屋は作れる、これは無理」というのが見えてきます。信心深い訳ではありませんが鬼門くらいは気にした方がいいし、担げる縁起は担いでおこうと思っていたのでそれも念頭にパソコンに向かう毎日。しかしやはり素人。自分の家の間取りは世界中探しても絶対に自分自身が一番検討しているはずなのに、どうしてもアカ抜けない。建売住宅のような良くあるものになる。たまに家内からもダメ出しがくる。何度も検討してはリセットしていきました。
      
 この期間中もどこに施工を任せるかのリサーチは続けていましたが、これと決めるにはあまりにも選択肢が多すぎ、すっかり煮詰まってしまいました。「設計事務所に頼むのが一番いいのかもしれない。しかし何故そうしないのかというとカネが足りないからだ。でも待てよ。金がないからこそ、むしろ金を有効利用しなきゃいかんのじゃないか。建築費の妥当性は素人では判断出来ん・・・なら、やはりそこはプロに任せるべきか・・・?」
     
 カネを出せばいいものを作れるのは当たり前。高いなら高いなりの理由がなければ納得できません。

 「値段の割にいいよね、この家は。」と自分自身が納得できなければ。
     
 予算オーバーすることは最初っから分かっていました。しかし後悔はしたくない、でも貯蓄のほとんどを突っ込むというのもやり過ぎ感いっぱい。家以外にも欲しいものは多くあるし、子供たちにも色々なものを残してやりたい。葛藤が続きます。ですが「まずは後悔のない家を建てよう、金は後からでも稼げばいいじゃないか」と自分自身に言い聞かせます。それからは設計事務所も視野に入れ直しました。インターネットで探す毎日。幾つか候補はあるものの、どうも敷居が高いなと思うところ、設計監理費用を公開していてリーズナブルなところ、自宅の近くにあって便利そうなところ、いくつかピックアップ。最終的に「少々高くても敷居が高そうでも、後で後悔するくらいなら無理メと思えるところに頼んでみよう」と、久米さんのところにアポを取る事にしました(久米さんが、家内が勤めていた頃のお客さんだったとは知らずに家内に伝えました。家内がびっくり!!)。

 2008年6月に初めてメールを入れました。ところが久米さんも多忙な様子で時間が取れないと返事。私も多忙な毎日を送っており平日は時間が取れず、週末のみ可。しかも家内は出産間近の身重な体。7月xx日ならOKと久米さんから連絡があったもののその日は出産予定日直前。あぁ無理。その後無事出産し、はや2か月経過が経過しました。家の中のバタバタもようやく落ち着いてきて、そろそろ建て替え作戦再開と連絡をすると今度はスムーズに調整OK。

 で、その日を迎えようとした前日、今度は私の方に仕事上のトラブル発生。その日は徹夜になり、朝になってもまだ片付きそうにない。
     
 なんなんや一体。誰や、邪魔しとんのは。
     
 結局その日の朝、久米さんに断りのTELを入れて仕切り直しです。そして一体何度目でしょうか、日程調整をして約1ヶ月後にようやく始めての打合せを迎えました。ここまでなんともまぁ、長かったもんです。

 

久米から一言… 

 

私の事務所は全然敷居は高くないのですが…(中にはあります、面談するだけで7万円請求されたと建築主さんから伺った事務所が…)

ただ、本当のことを申し上げると、誰でもいつでもOK、という感じにはしていません。

他の事務所紹介サイトなどの私を見ていただくとそう感じられる部分があるかもしれませんし、設計事務所のプロデュース会社への登録も、少し制限ぎみです。

 

というのも、本気で家を設計事務所と計画しよう、と思っておられる方だけに来て欲しいからです。零細事務所ですので、多忙となるとなかなか体があかず、いつも色々な人にご迷惑をおかけしています。ですから、できるだけ本気の方とだけお会いしたいということです。

でも、時間が取れないからといって、お会いしたくないわけではないので…むしろ、とてもお会いしたいのですが…そこのところ、誤解なさらないでください…。

 

私も竹内様とお会いできるまで、待ち遠しかったものです。

 

- GekkanNZ 誌 2018年7月号より
  「建築探訪」連載中です。

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- 一般社団法人海外建設協会(OCAJI)

  会報誌 海外生活だより に寄稿させ

  ていただきました。

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