Hさんのお住まい リフォーム記録

■基礎の補強工事

 

お盆明けから工事が再開されました。まずは構造補強工事です。内側から床や天井、壁を外してみると、隠れていた梁や柱、床下などの状態が明らかになっていきます。ベランダの根元に当たる部分から雨漏りによって南側の東西角の柱の上部が腐食しており、かなり傷んでいたため、柱自体を交換することになりました。東西ともに梁には影響がなくて良かったのですが、今回のリフォームで開けなければ分からないことでした。一方で水周りの床下などは腐食している箇所もなく、また他の場所も大きな問題はありませんでしたが、元の基礎には鉄筋が少ないため、さらなる耐震補強のために新たに配筋を組み直し基礎をやり直すことになりました。大幅な追加工事にはなりましたが、この基礎工事や梁の追加、補強金具設置などにより、ちょっとやそっとの地震などでは倒れない頑丈な家になったかなと思います。

 現場で起こる様々な問題への対応も検討しつつ設備の詳細なども決めていくので、契約時の設計図からもどんどん変更していくことになります。なかなか実際の完成した状態をイメージしにくいので、一つ一つ決めるのに時間がかかります。そのあたりがリフォームの難しいところかもしれません。


 

■完成予定日は12月初旬に

 

工事の遅れや基礎補強や設計変更に伴う追加工事をお願いしたこともあって、完成予定日が約1ヵ月伸びて12月初旬になることになりました。新しい工程表をいただいた時はそんなに伸びるのかと思い目を疑いましたが、現場で監督さんから工程が伸びる原因について説明をしてもらい、納得したうえで工事を進めてもらうことにしました。

すでに新しい杉板のフローリングが敷かれ、また壁や天井の断熱材や銅の床暖房も施工されており、目的の一つである冬の寒さへの対策は着々と進んでいます。これからは大工さんによる建具の造作や、壁のクロス貼りや天井の漆喰などの塗装工事、キッチンやお風呂など水回り設備の工事なども仕上がっていく予定です。現在はクロスの種類や、漆喰や建具の塗装の色などを検討していて、キッチンのパネルがこげ茶色のものを選択したため、杉板の床や建具の色などとのバランスを考えながら検討しています。


 

■照明も二転三転

 

照明を決めるのも難しい作業です。久米さんに提案していただいた案を確認することになり、遠藤照明のカタログを久米さんからお借りし、またパナソニックの照明はホームページから確認・検討していましたが、たくさんあり過ぎてなかなかイメージがつかめません。9月初旬には大阪グランフロントにあるパナソニックのショールームにも出掛けたりして、ようやく固まってきました。

ある日、久米さんから他のお客さんで利用しているアートワークスタジオというお店を紹介していただきました。家から割と近い場所に直営店があったので行ってみたら、値段はとてもリーズナブルですが、かわいらしい照明がたくさんありました。また照明だけでなく、おしゃれな家具や雑貨などもあって、今後もたびたび訪れたいお店の一つになりました。これから照明をお考えの方にもおススメです!

結局、ダイニングテーブル上のペンダントライトや、2Fの照明は変更してアートワークスタジオのものにすることにしました。

 

                                (第3回に続く)


久米から一言・・・

 

木造の改修は進行に伴って、新たに「発見」されることが多く、その都度ひとつひとつを検討していかねばなりません。ですから、木造の建物の改修工事をお考えの方は、スケジュールとご予算に余裕がある程度必要です。

Hさまのお家ははじめの簡易チェックでは無筋ではないということで基礎補強まで考えていなかったのですが、詳細に調べると、本数がかなり少ないことが判り、「炭素繊維シート」で補強しました。(鉄筋を足したりコンクリートを足したりは大掛かりになるのですが、これはシートを貼り付けて補強する比較的施工の楽な方法です。)

ようやく工事が「家のかたち」になってきて…私も嬉しいです。竣工までもう少しです。

- GekkanNZ 誌 2018年7月号より
  「建築探訪」連載中です。

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- 一般社団法人海外建設協会(OCAJI)

  会報誌 海外生活だより に寄稿させ

  ていただきました。

 (記事はこちら)